Mリーグ2026-27シーズン、レギュラーシーズンの序盤戦において、プロ麻雀士・朝倉康心選手(U-NEXT Pirates)が鮮烈な戦いを披露した。
東場の痛烈な失点により一度は持ち点が1万点を割り込むラス(4着)目に沈みながらも、妥協のない手順から繰り出された倍満ツモを皮切りに一挙反撃。強気の攻めと的確な立ち回りで劇的な逆転トップを飾った一戦である。
本記事では、この第1戦における勝負の分かれ目と、朝倉選手の圧倒的な踏み込みが生んだ名局の数々を第三者目線で徹底解説する。
絶体絶命の窮地:東3局の重い一撃

試合は東1局、赤坂ドリブンズ・浅見真紀選手が跳満(3000・6000)をアガって先行する形でスタートした。追う展開となった朝倉選手だったが、東3局1本場で予期せぬ大きな失点を喫することとなる。
TEAM RAIDEN・萩原聖人選手からの9巡目先制リーチに対し、自身も手を進めていた朝倉選手だったが、押し出される格好で危険牌を放銃。これが「リーチ・ドラ2・裏3」の12,000点となり、朝倉選手の持ち点は一気に10,000点を割り込んで箱下に迫る4着目へと転落した。
オリを選択していたものの手牌に押し出される格好での満貫放銃、さらには裏ドラ3枚という不運も重なり、精神的にも足元が揺らぎかねない絶望的な局面的展開であった。
反撃の狼煙:東4局、こだわりが手繰り寄せた「倍満ツモ」

しかし、ここからの朝倉選手の踏み込みと牌譜選択が、この試合最大のハイライトを生み出す。
続く東4局、朝倉選手はドラ2赤2を抱えた勝負手を手にする。対子落としを挟むなど妥協のない手順で丁寧に手牌を仕上げると、7巡目に強気の先制リーチを敢行。親である渋谷ABEMAS・日向藍子選手も仕掛けてテンパイを入れて連荘を狙うが、朝倉選手は次巡に即座にツモ発声。
- 手牌・役: リーチ・ツモ・タンヤオ・ドラ2・赤ドラ2・裏ドラ1
- 点数: 4000・8000(倍満)
一振りの大技で一気に点数を叩き戻し、トップ争いへと急浮上を果たした。
親番でのラッシュと隙のない試合運び

倍満ツモで勢いに乗った朝倉選手は、南場に入っても攻めの手を緩めなかった。
- 南1局: 萩原選手のリーチに対し、冷静な仕掛けで打牌をかわしながら1,000点をアガリきり、他家の加点リスクを奪う。
- 南2局1本場: 親番を迎えた朝倉選手は強気の先制リーチ。これを見事に一発でツモり上げ、4000オール(4100オール)を獲得してついに単独トップ目へと躍り出た。
- 南2局2本場: 先制リーチをかけた浅見選手に対し、危険牌を通しながら追いかけリーチを打ち込む強硬姿勢を見せる。5,800(6,400)点のアガリを手にし、後続との差をさらに広げた。
大技を決めた後に守りに入るのではなく、親番で一気に加点して勝負を決めにいく「強気の踏み込み」こそが、朝倉選手の真骨頂と言える展開となった。
勝利を決定づけたオーラスの冷静な判断

オーラス(南4局1本場)、トップ目・朝倉選手と2着目・浅見選手との差はごく僅かな緊張感あふれる局面に達する。
粘る親の日向選手が連荘を重ねる中、朝倉選手はピンフ・タンヤオ・ドラ・赤の勝負手でテンパイを入れる。ここで無理にリーチへ踏み込まず、役ありのダマテンを選択。自力で決着をつけるツモアガリ(2000・4000は2100・4100)を決め、文句なしの自力決着でトップを確定させた。
【第1試合 最終結果】
- 1位:朝倉康心(U-NEXT Pirates) +74.0
- 2位:浅見真紀(赤坂ドリブンズ) ▲1.8
- 3位:萩原聖人(TEAM RAIDEN) ▲25.1
- 4位:日向藍子(渋谷ABEMAS) ▲47.1
まとめ: 諦めない姿勢と圧倒的な戦術の勝利
12,000点の放銃による4着転落から、+74.0ポイントの大トップへの逆転劇。数字だけを見れば「倍満をアガった幸運な試合」に見えるかもしれない。
しかしその本質は、不運な失点にも心を乱さず手順を妥協しなかった東4局の姿勢、そしてトップに立った後もリスクを恐れず攻め切った南場の踏み込みにあった。まさに朝倉康心という雀士の強さと魅力を凝縮したような第1戦であったと言えるだろう。

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